石 笛 と は



        
       


                           Stone whistles
                     
                           
made by nature


 石笛(いわぶえ)は穴の明いた自然石で、自然界が創り出した奇跡の産物です。
   古来不思議なものには不思議な力が宿り、その神秘に満ちた音は«音霊»を司って物事を変化させ
   たり動かしたりする力が在るとされていました。


 穴の明き方により、二種類に分類されます。

     (1)非貫通型 ・・・ 穴が単独で、貫通していないもの。
                    ⇒ 歌口(吹き穴)のみのもの。
     (2)貫通型   ・・・ 穴が石を貫いていたり、複数の穴が石の中でつながりあって貫通しているもの。
                    ⇒ 歌口(吹き穴)と指穴を持つもの。


 音色・音量・音程・音域などは、

     (1)石質組成密度・表面粒子の粗密度・硬さ
     (2)穴の深さ
     (3)穴径の大小
     (4)吹き穴壁の角度や形状

   などの条件により千差万別で、この世に二つと同じ物が存在することは在りません。
   百個の石笛があれば、そこには百の個性と表現力と味わいが存在します。


 採集条件は、宝石と同じで、手順は以下の通りです・・・・・・[瀬川の定義]

     (1)外観・色・姿・形・模様 ・・・・・ 希少性・美しさ・神秘性 ⇒ 神の笛に相応しい風格
     (2)材質            ・・・・・ 希少性・美しさ・耐久性
     (3)耐久性          ・・・・・ 泥岩・凝灰岩などは吹いている最中に割れるものが多い
     (4)楽器としての性能     ・・・・・ 鳴りの良さ・音量・音域・表現力・演奏の安定性など


 使用法は大きく二つに分かれます。

     (1)効果音 ⇒ 音霊・即興・etc.・・・、神秘的な音で雰囲気を創る

        *音域が半オクターブ以下の狭さのものでも十分可
        *1オクターブ以上の音域のものならば文句無し

     (2)楽器   ⇒ 楽曲として再現・伝承され続ける、明瞭明快な旋律を奏でる

        *演奏表現の安定性、即ち、同じ曲を100回演奏して、限りなく100回に近く理想的演
          奏表現・音楽表現が繰り返し同レベルで出来るもの。
        *原則として1オクターブ以上の音域のもののみを対象とし、採集現場に於ける私の鑑定
          基準は、
          @非貫通型 ・・・・ シューベルトのアヴェ・マリアが演奏できること。
          A貫通型   ・・・・ 瀬川良夫作曲「天平徐雅」が演奏できること。


        但し、伝承曲が存在しない為、演奏曲は

          @演奏可能な音域の曲を借用する。
          A作曲する。
          B即興演奏する。


 今から1万6千500年程前に出現し、日本全国に約十万箇所も存在すると言われる縄文遺跡の中
   でも、«石笛»は今から約五千年前の縄文時代中期以降の遺跡(鹿児島県・熊本県・奈良県・
   岐阜県〜北海道、その中でも特に関東・東北地方に多い)から数少ない出土例があるのみです。


 これらは«音霊:おとだま»として森羅万象・八百万(やおよろず)の神々に狩猟採集の許諾、安全と
   豊穣豊猟(漁)の祈りと感謝、諸々の儀式で神霊を呼び迎える為に、極限られた人(村長:むらおさ
   やシャーマン的な人物)が自然界から授かった«神器»と言えましょう。
   そして、その神妙且つ神秘なる響きは人々をトランス状態に導いたり、異常興奮・幻覚・神憑りを起こ
   させたり、眠りに導いたり、時として病をも癒したことでしょう ・・・・・・・・・  そしてまた 、 ・・・・・・・・・
    と言うのも、私の演奏に於いても、実はずーっと以前から前述現象はもとより、それ以外にも、演奏
   している私の周囲50p以内と思われる背後や側面の空間で鳴り響くピシッ、パシッ、バキッと言う大
   きな音のラップ現象・憑依現象その他を始めとする不思議な現象が多々起きています・・・・・・・・・。


 そして、石笛使用法の伝承事例を唯一現在に伝えているのが古神道の«帰神法»で、これは神霊を
   呼び迎えて神主に神を憑らせる一種の降霊術とも言えるものです。

      @侍座者が石笛を吹いて神主(憑代)をトランス状態に導き、神霊を
        呼び迎えて神主に憑依させ
      A審神者(さにわ)が神の正邪を見極め
      B神主を介して神の託宣を受ける

   しかし、現在ではその危険性からか、一部の神道系流派が行っているのみのようです。


                     


                                       
          
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